本日見かけた記事にて、ニコンから発売が予定されていた高級コンパクトデジカメ「DL」シリーズの発売を中止したというものがありました。
www.itmedia.co.jp
2016年2月に発表されて、同年6月に発売予定だったのが、途中で画像処理用のICに重大な不具合があるということで、発売時期未定となっておりました。
発表から1年、すでにテスト機などもできていて、プロのフォトグラファーの作例なんかもサイトには上がっておりました。
アマゾンでもまだ一部商品が並んでいたりしているようなので、もしかしたら多くの人が、予約されていたことも予想されるのですが・・・
突然の発売中止発表だったようです。
個人的には、ニコンの「DL」シリーズについては、それほど興味を持っておりませんでしたが、発表されてから順調に開発が進んでいたデジカメが、発売を前にして販売中止になるということに、非常に驚ろかされました。
もしかしたら、ニコンに限らず、今後もデジカメを製造販売されている他社でも同じ様なことが起きて来るのではないかと不安にも感じました。
記事によれば、
開発費増加と販売想定量の下落などを考慮し、収益性の観点で中止を決定
とありました。
ニコンのデジカメはソニー製のセンサーを使っているとどこかの記事で読んだので、てっきりそうだと思っていたのですが、「DL」シリーズは自社開発のセンサーだったんでしょうか?
だとしたら、慣れないセンサー開発で、開発費が非常に上がってしまって、損益分岐点が異常に上がってしまったのかなぁと。
もしかしたら、不具合もまだ対応できていなくて、その不具合へ対応するのに、根本的な部分から改変が必要だったりしたのかなぁと。
途中からソニーなど他社製のセンサーを使う方式に転換するとかは、難しかったんでしょうね。
まぁ、実際の所は開発に携わっている方々にしか分からないかと思いますが・・・
それ以外と同時に、ニコンの今期の決算発表でも、営業利益が80億円の赤字になると発表されており、
特に映像事業では「想定以上の市場減速」がある
という表現がありました。
多くの人がスマートフォンを持ち歩くようになって、スマートフォンについているカメラ機能だけでも、そこそこの写真が撮れるようになってしまった状況では、写真を撮るためだけのデジタルカメラを持ち歩く人は少ないのかなぁと。
写真を撮った後の目的が、SNSやブログで利用するということの場合、撮影した写真をPCやスマートフォンに取り込む作業が必要となるデジカメよりも、スマートフォンに付属のカメラの方が便利だったりします。
必要な画質についても、スマートフォンのカメラの高性能化に伴って、かなり上昇しており、WEB媒体向けであれば、わざわざデジカメを使うまでもなく、スマートフォンでも十分だと感じます。
そうなってくると、デジカメを買うのは、かなり限られた層ということになって来てしまうのかなぁと。
かくいう私も、デジカメを数台保有していますが、ブログ用の写真は、普段から持ち歩いている関係上、ついつい持っている iPhone で撮影してしまうことが多いですし・・・
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どうしてもスマートフォンでは撮れない写真などは、デジカメを使うことはあったりしますが、日常を切り取るような写真などは、転送の手間を考えるとスマートフォンを使う方が楽です。
デジカメでしか撮れない写真というのもかなり存在しているとは思いますが、多くの人が必要としている写真は、スマートフォンのカメラで十分に撮れるということなんでしょうね。
その結果、デジカメ市場が縮小していくということなのかなぁと。
私もスマートフォンよりもきれいな写真が撮れるのではないかと1インチセンサーのSONY 「DSC-RX100」を買いましたが、屋内などでどうしても明るいレンズが必要な時ぐらいしか使わなくなりました。
それでも、普段外出する際にはSONY「DSC-HX90V」コンデジを持ち歩いております。
こちらは趣味の延長・・・いざという時に野鳥を撮影するために持ち歩いているという状況です。
さすがに、スマートフォンでは遠くにいる野鳥の姿を捉えることはできませんので・・・
野鳥探鳥が目的で出かける時には、いつものデジタル一眼を持って出かけますが、外出した時に突然出会う野鳥を撮るには、普段から持ち歩けるカメラでないと対応できません。
スマートフォンではできないことをコンデジに求めた結果、「DSC-HX90V」という高倍率ズームのコンパクト機に落ち着いたという感じです。
デジカメで写真を撮るという行為は、やってみると非常に楽しいのですが、世の中のどれだけの人が、それを楽しいと感じるかは分かりません。
絞りやシャッタースピード、レンズの焦点距離やフィルターなどをいろいろといじって、様々な写真が撮れるのはクリエイティブな感じがして非常に楽しいことです。
実際に撮ってみて、比べてみれば、デジカメの写真とスマートフォンの写真では、違いがあると分かるのですが、比べてみないと分からないとも言えます。
画質的な部分や、撮って出てくる写真に不満がない人が多いから、わざわざデジカメを買わずともスマートフォンで十分と思う人が多いのではないかなぁと。
そうであれば、スマートフォンで足りなかったり、できない部分で、より多くの人が欲しいと思えるような機能をデジカメに搭載して、商品として提案していかないと、市場はますます縮小していくのかなぁと。
ただ、スマートフォンの方も、製品の差別化が難しくなっているのか、カメラユニットの性能も高くなっている機種が増えているので、デジカメはさらにそれの上を行かないと、ジリ貧になってしまいそうな気もします。
店頭にある写真プリント機を使っている人を見ていると、スマートフォンからプリントする人が結構多くいることを感じます。
大半の人が撮ったデジタル写真を、印刷して残す際に使うサービスサイズのプリントも、スマートフォンのカメラで十分に役割を果たしているのだろうなぁと。
今回のニコンの「DL」シリーズは、センサーサイズを1インチというサイズにして、通常のスマートフォンのセンサーサイズよりも大きいので、スマートフォンよりもきれいな写真が撮れますと訴求するような商品。
しかし、スマートフォンの画質で十分に満足している大半の人にとってはあまり魅力的でもないので、それに反応するのは一部の人だけ。
使いどころがSNSやブログのようなWEB媒体や、サービスサイズの写真プリントだったら、そこまでの高画質は必要ない人がほとんどで、多くの人には響かないんだろうなぁと。
フィルムカメラ全盛の時代であれば、手軽に撮影できるインスタントカメラと、35mmフィルムでは出て来る写真の物理的な形状や使用するシチュエーション、使い道なども違っていて、それぞれで棲み分けができておりました。
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その場で楽しめる写真としてインスタントカメラを使ったり、家族の写真を残す際には35mmフィルムのプリントを使ったり・・・
しかし、スマートフォンとデジカメでは、最終的に出て来るものはどちらもデジタルデータ。
そこに物理的な形状や使い道の差は一般人にとってはあまりなく、結局はスマートフォンが高性能化することで、デジカメの必要性が無くなって行ったのだろうなぁと。
デジカメを必要とするのは、ごく一部の人に限られてしまったのかなぁと。
今後もこの傾向が続くと、デジカメメーカーは苦しいだろうし、製品開発も滞って行くのかなぁと。
ニコン「DL」シリーズの発売中止ニュースを見て、そんな事を考えてしまいました。