おきらく・ごくらく日記

野鳥とゲームとデジタルガジェットの日々

EOS KISS X7 使用時の「AVモード」「ISOオート」での露出補正テスト

現在私が野鳥撮影で利用しているデジタルカメラは、Canon EOS KISS X7。

過去に、銀塩一眼カメラを使っていたことがあったものの、デジタル一眼カメラをまともに使い始めてから1年半ぐらいになります。

銀塩時代には常識と思っていたことが、デジタルになってから変化したものがいくつかあります。

その中でも気になったのが、絞りとシャッタースピードISO感度の関係。

銀塩カメラ時代は、一度フィルムを入れてしまうと、ISO感度はそのフィルムに依存するので、写真を撮る際の光の加減は、絞りとシャッタースピードでのみ調整することになります。

絞り優先モードにしておけば、シャッタースピードはカメラ側で調整して写真が撮れます。
さらに、露出補正を+補正すれば、写真は明るくなり、逆にー補正すれば写真は暗くなるというのが常識でした。

ところが、デジタル時代になって、本来固定であったはずのものが変動可能となったので、混乱し始めました。
すなわち、「ISOオート」という設定の存在。

銀塩時代には、本来中に入れているフィルムによって、固定されるべき ISO の値が、デジタルになって、可変になってしまいました。
AVモード(絞り優先モード)で、ISOオートにしていた場合、シャッタースピードとISOの値はどうなるのか?
そこに、さらに露出補正が加わるとどういうことになるのか?
という疑問が発生してきました。


疑問が発生したいきさつ

私は、通常時カメラの設定は

  • AVモード(絞り優先モード)
  • 絞り解放(400mm時f5.6)
  • ISOオート
  • 露出補正+2/3

という設定で持ち歩いて撮影しております。

上記の設定で撮影すれば、大抵の状況下で、撮影した野鳥の姿を認識できる写真が撮れると考えているからです。
そこにその野鳥がいたという証拠写真を撮影した後、時間に余裕があれば設定を変更して撮影します。

先週末の日曜日に行ったヒレンジャクの撮影時のこと。

中書島野鳥探鳥 2015/02/15 7:30-9:10 - おきらく・ごくらく日記

ヒレンジャクが高い位置にいることが多く、空バックで撮影する機会が多かったため、被写体であるヒレンジャクがかなり暗く写っておりました。
ならばと、露出補正をさらに大きくして撮影したのですが、撮れた写真を見ると、それほど変わらない写真となっていました。

上の写真が +1 1/3 補正の写真、下の写真が +2.3 の写真
f:id:KEN-S:20150218004800j:plain
f:id:KEN-S:20150218004825j:plain

露出補正を大きくすれば、撮れる写真は明るくなるというのが、今までの私の中での常識でしたが、撮れた写真を見るとそうはなっていないので、今回の疑問となりました。

実際にカメラの露出補正を変動させて、どうなるのかということを、テストしてみました。
昼間に実際の野鳥でテストするのが一番良いとは思うのですが、野鳥がテスト中にずっと同じところにいてくれるとは思えないので、自宅でのテストとなります。

自宅でのテストのため、レンズは通常使用している EF100-400 f4.5-f5.6 L IS USM を使えませんでした。

代わりに、マクロレンズ EFS-60mm F2.8マクロ USM を使っております。

被写体についても、野鳥を自宅で撮れる訳ではないので、手近なところにあった、生物っぽい「リオレウス」の頭像にしてみました。(笑)

「AVモード」「ISOオート」順光状態での露出補正テスト

まずは、「AVモード」「ISOオート」で絞り解放(F2.8)にした状態で、順光状態の写真から。
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露出補正を変化すれば、被写体の明るさもちゃんと変化しています。

撮影データを見てみると、

露出補正値 絞り シャッタースピード ISO
-1 f2.8 1/100 100
-2/3 f2.8 1/100 125
-1/3 f2.8 1/100 160
+-0 f2.8 1/100 200
+1/3 f2.8 1/100 250
+2/3 f2.8 1/100 320
+1 f2.8 1/100 400
+1 1/3 f2.8 1/100 500
+1 2/3 f2.8 1/100 640
+2 f2.8 1/100 800

という値になっておりました。

今回の実験では、「AVモード」では「ISOオート」にしておくと、シャッタースピードは固定で、ISO感度が変動しておりました。

銀塩カメラの場合、「AVモード」ではシャッタースピードで調整するものだったのに、デジタル一眼(Canon EOS KISS X7)の場合は、ISO感度で調整しているようです。

「AVモード」「ISOオート」逆光での露出補正テスト

今度は、逆光で、露出補正を変動させて、どうなるのかということをテストしてみました。
条件は順光時と同じ「AVモード」「ISOオート」で絞り解放(F2.8)にした状態です。
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こちらも順光時と同様に、露出補正を変化すれば、被写体の明るさもちゃんと変化しています。

撮影データを見てみると、

露出補正値 絞り シャッタースピード ISO
-1 f2.8 1/100 400
-2/3 f2.8 1/100 500
-1/3 f2.8 1/100 640
+-0 f2.8 1/80 800
+1/3 f2.8 1/100 1000
+2/3 f2.8 1/100 1250
+1 f2.8 1/100 1600
+1 1/3 f2.8 1/100 2000
+1 2/3 f2.8 1/100 2500
+2 f2.8 1/100 3200

という値になっておりました。

順光時と同じで、ISO感度で調整しているようです。

「AVモード」「ISO固定(400)」逆光での露出補正テスト

今度は銀塩カメラ時代のように、ISOを400で固定してのテストをしてみました。
絞りは解放(f2.8)のままです。
f:id:KEN-S:20150218015140j:plain

やはり、露出補正を変化させれば、被写体の明るさもちゃんと変化していました。

撮影データを見てみると、

露出補正値 絞り シャッタースピード ISO
-1 f2.8 1/100 400
-2/3 f2.8 1/80 400
-1/3 f2.8 1/60 400
+-0 f2.8 1/50 400
+1/3 f2.8 1/40 400
+2/3 f2.8 1/30 400
+1 f2.8 1/25 400
+1 1/3 f2.8 1/20 400
+1 2/3 f2.8 1/15 400
+2 f2.8 1/13 400

という値になっておりました。

こちらは銀塩カメラ時代と同じで、シャッタースピードで調整する形となっております。
(当然といえば、当然ですが・・・)

結論

「AVモード」「ISOオート」に設定していても、露出補正を変化させれば、写真の明るさは変動しているということが判明しました。

今回の疑問の発端となった写真については、測光範囲の被写体の占有率と周辺の光の加減で、適正露出の値が変化し、結果として+2/3の画も、+1 1/3 の画も同じような明るさになってしまったということのようです。

もっとピンポイントで測光できれば、今回のような疑問もわかず、こんな夜遅くにカメラとライトをセッティングして、テストする必要もなかったのですが・・・

とりあえず、「ISOオート」にした場合は、シャッタースピードはほぼ固定で、ISOの値で画像を調整するということが分かっただけでも、実験した甲斐はあったのかなぁと思うしかありませんね。

設定されているシャッタースピードについては、おそらく「1 / 35mm換算時のレンズの焦点距離」ぐらいになっているのかと思われます。
EOS Kiss X7 が APS-C サイズのセンサーのため、レンズの焦点距離×1.6 が 35mm 換算時の焦点距離となります。

すなわち、今回テストした EFS-60mm であれば、35mm換算時の焦点距離 96mm なので、シャッタースピードが約 1/100 ぐらいになる形で、ISOを調整する。
EF100-400mm の望遠側であれば、35mm換算時の焦点距離 640mm なので、シャッタースピードが 1/640 程度になる形で、ISOを調整することになるのではないでしょうか。
この、「1 / 焦点距離」という値は、手ぶれせずに撮影できる限界シャッタースピードと言われる値を使っているのかなぁと。

とりあえず、画質を上げようと思ったら、ISO固定にしておかないと、カメラ側ではISOを優先してくれないということのようなので、今後の撮影時はその辺を加味して、設定を変えて行こうと思います。